一青窈 =その2=

   =続き=


カーテン越しに立った一青さん。
しんみりと歌い出した。
CDで聴いているお馴染みの声である。

   やっぱりいいねぇ。

1曲目を歌い終わり、パチパチと拍手喝采

そして。
2曲目に入った。

カーテンがあがり。
一青さんがこう呼びかけた。

   「兵庫県のみなさ~ん!こんばんは~!!」

可愛らしい格好でご登場した。

と、同時に。

   ジャカ、ジャカ、ジャジャーーン!!

耳をつんざく音。

   え?

しかも。
彼女は呼びかけた。

   「立ってくださ~い!!」

すると。

最前列からドドドドッーーとスタンディング開始。
見る見る波のように9列目の席もスタンディング。

   え!? え、えぇぇぇ、、、、、、。

初っ端からスタンディング。

しっとり席にもたれて。
癒されながら。
心地良く聴くのと違ゃうの?

   え、えぇぇぇ、、、、、、、、、、、、。

ドンチャカ、ギンギン、ドッカン、ドスドス。

舞台向かって右寄りだったので。
スピーカーが結構近い。

右耳の鼓膜が麻痺している。

   キーーーーーーン。。。

これで2~3曲終了。

拍手をしながらお席に座り直す。

   ホッ。

こんなスタンディングが続くのかぁ?
(この時点で滅入っている)

しかしここから。
彼女は聴かせる歌に突入しだした。

   良かったぁ。。。

すると。
隣のオッチャンがカバンから何かを取りだし。
顔の側面でコソコソと手を動かしている。

チラッと横目で見たら。
ティッシュを耳に詰めていた。

   分かる、分かる。

実際。
エレキギター、ドラムの音で耳が痛いんだもの。

彼女の歌唱力はCDで聴くのと同じ。
あの澄んだ声と聞き取りやすい歌詞。
それを活かすなら。

   生ギターにベースで充分でしょ。

と、思いつつも聴き入ってた。

すると。
隣のオッチャンがまたゴソゴソ。
オペラグラスを取り出し舞台を見だした。

その前にも。
身体を始終左右に振ったり座り直したりしている。

どうも、このオッチャン。
ジィーーッと出来ない性格らしい。

が。

   気にしない、気にしない。


   =続く=