注文する。

本や雑誌でも。
少数しか発刊しないものがある。

何かで見つけたり。
紹介してもらったりすると。

必ず一度は版元に問い合わせ。
注文することにしている。

こんな時に感心するのは。
その売買形態。

今まで版元から注文した物は。
必ずブツが先に届くのである。

お支払いはと云えば。
同封の振込用紙で銀行か郵便局へ。

よくよく考えてみると。
これほどの信用取引もないと思うのだが。

日本の誇って良い文化であり。
とても進んでいる商取引なのである。

過去に置いて。
どれほどそんな注文をしてきたことか。

中には振込用紙無しで。
物だけ送ってきた版元も多々あったが。

そんな時はこちらから。
確認をしてキチンと支払うのである。

当たり前であるが。
これが良い文化を育てるのである。

本や雑誌それぞれには。
紙をパラパラめくる時の触覚や。

紙の匂いやインクの匂いに特徴があり。
それが人の感覚を刺激する。

今のスマホで本を読むと云うが。
どうにも昔人間なので信用していない。

五感を使って読んだ方が。
記憶に残ると信ずる人間である。

新潮社、講談社集英社文藝春秋、岩波・・・。
所謂(いわゆる)大手出版社でなくとも。

面白い雑誌やら本はあるもので。
それらを見つけて読んだときは。

ちょっと優越感に浸ったり。
気分が良かったりする。

と同時に。
読めば読むほど。

何も知らない自身を恥じたり。
知りたい欲がかき立てられてくる。

「一生に五万冊読みなさい」
そうおっしゃった作家がいた。

たかだか千冊や二千冊ごときで。
読んだ顔をしなさんな。

そんな警句に聞こえるのだが。
やはり金言としておくべきである。

あるいは。
つい最近読んだ文章では。

幸福の絶頂にいるあなたの横に。
悲しみを背負った人がいるかも知れない。

だから大人は。
むやみやたらとはしゃぐな。

ちょっとでもグッとくる言葉やら。
一言半句がある本に巡り会うためにも。

身銭を切って。
注文する日がまだまだ続くのである。