最後の1羽が優柔不断で。
なかなか飛ばなかったが。
親鳥が促した結果。
パタパタとぎこちなく飛び立った。
巣立ったと云っても。
近所で飛行訓練をしているだけ。
夕方になると。
また巣に戻ってくる。
さて問題はこの瞬間。
飛び出すときと戻って来るとき。
ヒナが狙われやすいその時に。
カラスやらネコが巣の下に集まる。
狙うにはチャンスとばかり。
足音も立てずに忍び寄る。
親鳥は学習しているので。
カラスとネコには警戒の声を発する。
その声を聞くと。
パブロフの犬のごとく。
こちらも反応してしまい。
一刻も早くと外に出てしまう。
すると近くの木でとまっていたカラスが。
パタパタと離れて行き。
路地に隠れていた。
ネコがダッシュで走り去っていく。
この行為が良いのかどうか。
未だに分からないのだが。
弱肉強食の世界が。
目の前で繰り広げられていると実感する。
つくづく面白いと思うのは。
毎年やってくるツバメにも個性があることで。
やたら神経質な親ツバメやら。
心臓に毛の生えた親ツバメがいることである。
今年は心臓に毛が生えてたようで。
少々ではビビらない親鳥だった。
だからと云うことでもないが。
ここ数年はヒナに向かって話しかけている。
「大きくなれよ!」
「大口開けてエサをねだれ!」
「そろそろ飛び立てよ!」
これらのツバメのどれかが。
来年飛来したときに声を覚えておけよ。
そう思いながら。
話しているのだが。
通りすがりの人達は。
一本線の切れた人だと思うはずである。