1年半ぶりに友人と会った。
「お昼でもどうよ?」
「いいねぇ~」
そんな短い会話で即決。
京都駅で待ち合わせた。
お昼からでも。
アルコールOKな2人なので。
ビアホールを見つけて。
ジョッキーで乾杯した。
先ずはお互いの近況報告。
まぁ~いろいろある。
何杯かビールを追加すると。
会話ももっともっと弾んでくる。
ちょうどそんな時。
抱負の話しになった。
◇ ◇ ◇
「ワイはおもしろがることやねん」
「おもしろがって仕事するねん」
「どういうこと?」
「しんどい仕事やから」
「そんなことでも考えんともたん」
「で、なにしてるの?」
「今から来年に向けて」
「あれこれ企画やら遊びを考えてるねん」
「たとえば?」
「新聞を読むための虎の巻とか」
「万年筆で字を書いているとか」
「へぇ~」
「形見の万年筆が使えたんで」
「それで字を書いて楽しんでるわ」
「僕はボールペンやわ」
「万年筆は敷居が高いかな」
「ワイも使うまではそうやったけど」
「慣れると書きやすいねん」
「それおもしろそうやね」
「どこで買うてんの?」
「神戸に専門の店があるねんけど」
「書き手に合わせてペン先を調整してもらえるねん」
「一本、一本か?」
「そう、対面で書き方を見ながらやで」
「今度連れてったろか?」
「今度はいつになるか分からへんし」
「今から行こうや」
「えっ、神戸やで」
「学生時代やったら普通やったやん」
「そやな」
「すっかり勢いが落ちてもうてるわ」
◇ ◇ ◇
店に連絡してから。
新快速に乗り込んだ。
電車の中でもまだまだ。
おもろいことでの話題ばかり。
遠いはずの神戸もアッと云う間で。
お店に顔を出した。
店主に友人を紹介し。
さっそく万年筆選びに入った。
何本か万年筆を選び出し。
友人の前へ指し出し。
「書き味を試してみて下さい」
友人は云われるまま。
何本も次々と書いていたが。
「万年筆は初めてなんでよぉ~分かりません」
「店主のお薦めの一本はどれですか?」
リーズナブルな万年筆なら。
プレゼントする気でいたのだが。
ちょいと雲行きが変わったので。
だまったまま様子を見ていた。
そこに店主が一番のお薦め品を。
友人の前に置いてから話した。
「私が思うベストの万年筆です」
友人が書き味を試すやいなや。
開口一番。
「今までと全然書き味が違う」
「これにしますわ!」
どんな万年筆だか知りたいでしょ?
まことに男前の瞬間を見せてもらった。
そのお礼にと友人に違うものをプレゼントした。
男前にはなれないと実感した。