系統を越えた組合みたいなもので。
世話役の幹事さんが集まった。
ただ男ばかりだと。
話しも弾まなければ面白味もない。
だから綺麗どころにもサポートしてもらった。
話しは多岐に渡るのだが。
まぁ~明るい話しが一切無い。
この業界を去る人の話ばかり。
横でビールを注いでくれるお姉さんが。
懐石料理で出されるある器を指差して。
なんですかとお訊ねになった。
土瓶蒸しだけど知らんの?と申し上げると。
初めて聞きましたとおっしゃる。
久しぶりに口がポカンと開いたままになった。
秋が近くなるとこの中に松茸を入れて。
この出し汁をすすって楽しむんですよ。
ひとくちすすってごらん。
ご本人は大学4年生だと云い。
ホントに初めてですとおっしゃるのだが。
父親が日本料理の庖丁人とのオチまで付いてきた。
しかもしかも。
その土瓶蒸しを知らないお嬢さんは。
一人にとどまらずもう一人いたから驚いた。
毎日ジャンクフードしか食べてないのと違ゃう?
そんなことしてたら舌が馬鹿になるよ。
ちゃんとした料理食べとかんとアカンで。
その後も笑いながら歓談しながらも。
何となく背中がゾワッとしてしまい。
帰宅後もちと考えてしまった。
親がキチンと日本料理を子供に食べさせないと。
料理の存在さえ知らない子が増えて行き。
やがては日本文化も継承できなくなるのではないか。
そのお嬢さん方に申したのは。
バイトついでに一緒に食べに行くか?
美味しいモンご馳走するよ。
彼女達は極上の笑顔を見せつつ。
とても丁寧な口調でお断りを入れてきた。
ナンパは完全に失敗であった。