フィールドテスター。

一昔前まで熱心に釣りをしていた。
バスから始まり、海に行き、川へも進出した。

熱中している時は研究も盛んで。
片っ端から情報を集めては実際に試していた。

それでも分からないことは多く。
その時は上手い人や知っている人に教えてもらった。

実際に手取り足取り教えてもらうと。
お頭では解けない問題が氷解していった。

ある時は船上で感覚やら雰囲気を教えてもらい。
見よう見真似で体得することもあったし。

ある時は相手のロッドに手を触れて。
直に感じる感触を体に叩き込ませてもらった。

するとその直後から釣果が変わり。
楽しい思いをすることも多々であった。

その中でも釣り具メーカーのD社で長年に渡り。
ジギングでフィールドテスターをする方が来店した。

釣りではなく仕事でお付き合いのある人が。
ジギングのフィールドテスターとしてご活躍なのである。

仕事の話しがひと段落すると釣り談義となり。
テスターの釣り研究やら考え方を聞くのは楽しい時間となる。

趣味も漠然と続けると飽きてきてしまい。
熱中維持にはどうしても理由を求めるものである。

その研究を実釣で試したうえで結果が出ると。
テスターの存在価値を高めていく。

そのテスターさんもまさに申し子であって。
次から次へと溢れるアイデアに結果を出していった。

その情熱は感心を通り越して求道者に近く。
貴重な話しに飽くことなく聴き入ってしまう。

高僧の説法を有り難く拝聴するような。
そんな雰囲気にも似ている。

昨日の話しでも時間が足りないくらいで。
特にプロトタイプ時のエピソードは面白いのであった。

D社は世界でもトップのメーカーであり。
そこのフィールドテスターを長年張り続ける。

釣り好きだけでなれる話しでは当然なく。
情熱も腕も精神も行動力もが兼ね備え続けられる人。

そして運も味方してやっと。
フィールドテスターになれるかどうかなのである。

歓談はアッと言う間にタイムオーバーとなり。
いつもの通り次回を楽しみに待つ結果となるのである。