春のお告げとばかりに。
オカンが今年初っ端の。
釘煮デビューである。
帰宅したらほんのりと。
醤油の煮た匂いが漂っていた。
思わず生唾が湧いてきた。
夕餉の肴として。
食卓を賑わしたので。
一番に箸を持って行った。
山椒がピリッと効いて。
美味しいのなんの。
ブラボーと拍手した。
山椒を盛り沢山にして欲しいと。
ささやかなリクエストを。
恭しく申し出たら。
ニッコリ微笑みながら。
手のひらを前に出し。
こうおしゃっるのであった。
出すモンを出してからしか。
ご要望のイカナゴの釘煮は。
受け付けません。
その発言は確かに。
ごもっともだったので。
おっしゃる通りにした。
これから10日間ほどは。
我が家は醤油の煮た匂いで。
むせ返るほどとなる。
同じように街中も。
醤油煮のかぐわしい香りが。
これでもかと漂う。
風物詩である。