祖母。

母方の祖母は御年98歳。
長寿でいらっしゃるのだが。
だんだんと弱くもなっている。

数日前のこと叔父から電話があった。
「ちょっと弱ってきてるんよ」
会っておいた方が良いよとの忠告であった。

母親に行くように指示し。
すぐさま飛行機のチケットを手配した。
私は飛行場までの送り迎えを考えていた。

・・・が、しかし。

実は何年も会っていないことが気に掛かり。
思ったが吉日とばかりに。
チケットを二人分に追加した。

松山日帰りの往復である。
伊丹から約50分で松山空港に降り立ち。
そこで親類と合流した。

総勢7名となる。
大人数でのお見舞いと相成り。
婆ちゃんはたまげたと思う。

最初は孫だと気付かなかったようだが。
話すうちにだんだんと思い出したようで。
ゆっくりではあるが会話が出来た。

母親は11月中旬に道後温泉で一泊する。
その準備をしていたのを思い出し。
婆ちゃんに耳元でこう告げた。

「婆ちゃん元気になって道後温泉に行くで!
 何年か前にいっしょに行ったでしょ。」

すると婆ちゃんは即答した。
「5年前に船屋で泊まったんなぁ~」

ちょっとびっくりしたが、続けて。
「婆ちゃん、2週間後に温泉に行くで!
 それまでに元気になっときや!」

すると布団の中から細い腕を出し。
ガッツポーズの仕草を見せた。
ちょいと鼻の奥がツンッとなった。

あまりの長居は老体に障ると。
半時間ほどで引きあげた。
昼食後ふたたび空路で伊丹に帰った。

日頃から出歩かなくなると。
遠出が億劫でついつい理由をつけて。
遠慮するようになっていると実感する。

まだ温かい婆ちゃんの手をにぎり。
どうもありがとうと心で感謝した。
今年の11月はこうして始まった。