そんな目で見ないでよ!

先日、従兄が娘のサキ嬢を連れて。
神戸にやって来た。

その数日前に連絡があったのだが。
サキ嬢の大学受験であった。

   ◇

本命は別にあり、
肝試し的な受験だと云うので。
前日の晩に従兄と飲むことにした。

   ◇

当日の夕方。
従兄と合流し話しをしてみると。
サキ嬢は神戸の街での。
ウインドーショッピングを楽しみたいとのこと。

受験生ながら肝っ玉が太いので。
先ず受験は大丈夫だろうとのこと。

   ◇

そこで。
サキ嬢に申し上げた。

「お姉ちゃん、私らはこの店で飲んでるから。
 思う存分ショッピングを楽しんできてちょ。
 それから、この店に来たら良いから」

   ◇

AKB48の一員のような。
フリフリ格好のサキ嬢は。
こくりと肯くと一人。
三宮のウインドーショッピングに出かけて行った。

   ◇

従兄であるサキ嬢のお父ちゃんと。
久しぶりの再会でゴンゴン飲んでいた。
積もる話しをし、ビールも飲んでいた。

すっかり酔っていた頃。
携帯に電話が鳴った。

   ◇

サキ嬢が店の外から鳴らしたのであった。
彼女のお父ちゃんに申し上げた。

「下に向かえに行って下さいな」
「よく分からんから行ってきてよ」
「りょ~かい」

一抹の不安を持ちつつも。
トコトコ階段を下りて迎えに行った。

   ◇

店の外で立っているサキ嬢を連れて。
店内に入った途端に。
店員の無言の威圧視線を感じた。

「オッサン、援交かい!」
「このスケベジジィ~!!」

それは殺気そのものであり。
罪悪感を促(うなが)す視線でもあった。

   ◇

「違ゃいますって!無実ですって!!」

   ◇

何故かペコペコ頭を下げ。
鋭い視線を避けつつ。
娘をお父ちゃんの横に座らせてホッとすると。

またぞろ。
ゴンゴンとビールを飲んだのであった。

   ◇

ホンマに。
ドキドキする経験をさせてもらいました。

   ◇

後日。
サキ嬢のもとには「合格」の通知が届いたと。

彼女のお父ちゃんから。
フグの写真とともにメッセージが届いた。

   ◇

サキ嬢。
おめでとう!

本命合格めざして、頑張れよ!!