冬の日本海と云えば。
私には【松葉蟹】しか。
頭に浮かばない。
あるご縁で良い宿に出会えて。
正真正銘の活きの良い蟹を。
堪能させてもらったのは。
今でも幸運であったと思っている。
その後も蟹を食べたいと。
日本海行きを計画するも。
うまく行かず仕舞いで。
本日に至る有様である。
もうかれこれ6年以上が経過した。
今だから思うのである。
ガタピシ鳴る窓の外は。
ピューピュー唸る風が吹き荒れている。
そんな宿の一室では。
面倒見の良い女将が横に付いて。
湯気まみれの熱っつ熱つの松葉蟹の。
食べ時をお教え下さる。
その時を逃さずに。
大口開けてハフハフしながら食すのである。
飲み物はもちろん。
地元の超辛口を冷やでコクリ。
そしてまた。
ただただ食べることに没頭する。
翌日のお勘定は目玉が飛び出そうだが。
堪能した幸せと喜びを考えたなら。
数年に一度なんだから。
身銭を切ってでも。
行く価値があると思うのである。
松葉蟹を食べたくなった。