【的矢カキ】

砂地や泥地に生息する魚介類は。
ドロ吐きをさせてから食す。

鰻、泥鰌、鯉、浅蜊に蜆等々。
それをしなくては泥の味が邪魔をする。

最近はかなり丁寧に扱っているのか。
そうそう気にならなくなったが。

ちょっと前は酷いものだった。
今でも鰻はスーパーでは買わない。

信州の旅館でバイトをしていたとき。
鯉料理を名物にしていたのだが。

その鯉のあらいなども。
ドロ臭が鼻について食べられなかった。

鯉が美味しいと初めて思ったのは。
故松本さんと一緒に佐久に行った時だった。

温泉旅館で食べた鯉の刺身は。
見事にドロ臭がなく目から鱗が落ちた。

女将に話しを聞いてみると。
冷たい清流で数日間泳がすことで。

魚体を清浄させると。
臭みが消えるとのことだった。

次に鯉で感動したのは。
東北は秋田の内陸部にある温泉宿。

鯉の旨煮が鱗まで食べられ。
滋味がたっぷりなのにファンとなった。

ただし関西圏ではまだまだダメで。
一度チャレンジするも箸を置いてしまった。

それ以後は一切口にせず。
東北に出向いたときに楽しもうと思っている。

  ◇ ◇ ◇

一年前だったか、もっと前だったか。
料理番組を見ていたときに。

牡蠣の特集を何気なく見ていたら。
一度清浄させてから出荷する場所があった。

取れたては牡蠣のえぐ味を持っているので。
出荷前に清浄水でドロ吐きをさせる。

すると牡蠣のうま味がより発揮され。
顔がニンマリしたまま幸福感にひたれる。

思わず飛びついてネットで検索。
通販で購入しようと思うも時すでに遅し。

完売となってしばらくは出荷中止。
その年は結局購入できなかった。

普通ならそのままフェイドアウトだろうが。
忘れてはいなかった。

翌年のスケジュール帳に。
ちょいとメモ書きをしておいたのである。

今回再度ネットで検索してみたら。
一時の熱狂は冷めたようで注文可であった。

すぐさま注文して支払いを済ませ。
お届け日を本日に指定した。

朝一番で宅急便から届けられ。
蓋を開けたら口がカキカキモードに突入。

牡蠣には日本酒とばかりに。
かんなり奮発して大吟醸を入手。

さ~て、今から。
生牡蠣から順番に攻めていく。

満面の笑みが続くのか。
頭の味がまさってガッカリするのか。

今が想像していて。
一番楽しい時間である。

取り寄せたのは佐藤養殖場さん。

興味ある方々は。
自己責任でお取り寄せして下さいまし。

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