=続き=
会社員当時。
ひょんな契機で川崎重工の担当になった。
厄介な仕事だったので。
毎日が憂鬱で仕方なく。
上司に相談するも却下された。
もう辞めたいなぁ。。。
それが激変する事が起こった。
担当していた部署の事業部長に会った時のこと。
ひょんな事でバイクの話しになった。
すると。
「Z1とZ2のエンジンは私が担当したんやで」
「え?え? ホントですか??」
「ホンマやで」
「! ! !」
唐突の話しにパニックとなった。
中学生時代からの情熱と憧れのバイクを設計した人が。
目の前にいるオッチャンだったんだから。
「興味あるんやったら教えよか」
「是非、是非! お願いします!!」
その人はエンジン担当で。
当時、目指したのはモアパワー。
最強のエンジンを設計することだった。
試作品を試すのに。
名神高速の京都東ICまで走ってたと話していた。
理由はダラダラと続く上り坂で。
グングンと引っ張って行くエンジンかどうかを試すテストだった。
何度も何度も走ったそうである。
そして満を持してのデビュー。
先ずは海外仕様のZ1。
これが好評を博し、その人についた海外からのあだ名が。
ミスターホースパワー。
人間的にも魅力的で。
その人が川重の社内報で書いた論文は。
私の心の芯となって、今もブレていない。
受注と利益の確保。
社会貢献。
春には研修生が来る事があるんだけど。
その時に話すのは。
「君の仕事は何だと思う?」
ホヤホヤの新入研修生は色んな事をおっしゃる。
曰く「営業です」
曰く「記事を書くことです」
だけど私は以下の話しをするのである。
受注と利益の確保。
社会貢献。
この2つを憶えといて。
そして何年後かに“なるほど”と思ったら。
お酒でも飲みにおいで。
ホントに貴重な経験をさせてもらったと。
感謝している。