秋の蚊は手強い。

夕方、店で事務処理をしていた。
机に書類を広げて。
ピントの合いにくいヤクザ眼を。
書類の文字に必死に凝らしていた。

そんな時。
左の肘あたりに。
ちょっと痒みを感じ。
何気なく肘をカキカキすると。
小さな黒い物体が眼の端をスゥーッと横切った。

   やられた!!

すぐさまアタリをキョロキョロし。
お腹がパンパンの白黒まだらを探した。
腹一杯の蚊は飛び回るのに苦労するようで。
たいがいは近くで食後の休憩を取っている。

   いたいた。

ソロ~ッと手を近づけ。
一気呵成に攻め立てた。

   パチン!!

惨殺現場は血まみれ状態。
これが人なら眼を覆いたくなるような光景だろうが。
蚊だから。

   不届きもの!
   叩きうちの獄門だぁ!!

この時期の蚊は百戦錬磨。
ちょこっと止まっては。
チュチュッと血を吸い。
ササッと逃げてしまう。

   やっつけるのに苦労する。

私の取る方法は一つ。
たっぷり血を吸わせて。
恍惚状態時に。

   パチン!
   南無阿弥陀仏

肘だけかと思っていたら。
足首と臑に赤玉が出来ておりました。

   他にもゲリラ蚊がいたようである。