行って、帰って、行って、帰る。

両親は旅行に行った。
行き先は東北で。
まだ足を踏んでない県である。

昨晩、オトンが。
「明日、伊丹まで送ってくれ」

早朝便ということもあって。
「エエよ」

    ◇

今朝、6時半に自宅を出た。
道中の時間は。
法廷速度を守って約30分。
高速道路で繋がっているので。
とても便利なのである。

行きの車中では。
オカンがいろんな指示を出すのである。

「明日はゴミの日だから。
 冷蔵庫の中はさわるな。
 鍵は部屋に置いてるから」

    ◇

今から旅行に行くのに。
こんな調子だから。
ついつい云ってしまうのである。

「旅行を楽しむことに集中したらエエ。
 大丈夫やから」

    ◇

無事、空港で降ろした。
「ボン、ヴォヤージュ(いい旅を)」
と、言葉を贈って帰路に着いた。

帰りの道々、沖仁のCDを聴きつつ。
「朝飯はサンドイッチでも食うか」

    ◇

自宅に到着し。
ドアを開けようとした。
その時初めて。
ドキドキする事態に気付いた。

「鍵、無いやん」

    ◇

カバンの中を食い入るように探せども。
ドアの鍵が無い。

「・・・ゲェ!」

    ◇

こんな時に限って。

窓から何から。
ピシャッとガッチリ鍵が掛かっている。

「あかんがな」

    ◇

辛うじて店は開けてたけど。
3日間の店暮らしを想像した。

雨露は凌げるけど。
ハッピーでは決してない。

    ◇

オトンの携帯に電話した。

「家の鍵を部屋に忘れたから、
 今から伊丹に向かう」

オトンの返事も待たずに。
ハンドルを握り。
車をぶっ飛ばした。

おそらく間に合っても。
フライト時間ギリギリである。

    ◇

CDを一青窈にチェンジし。
空港に向かった。

速度違反で捕まれば。
免許取消し2回分くらいかな。
レーダーを最高感度に引き上げ。
アクセルを踏み込んだ。

走行車線の車が瞬く間に後方に消え。
前を走る車が。
次々に走行車線に車線変更していく。

    ◇

途中、オトンから電話が鳴る。

「早よせんと、飛んでしまうぞ!」
「あと5分で到着するから」

    ◇

ギリギリセーフ。
「ご機嫌よう!さよ~なら」

鍵を受け取り。
帰路に向かった。

    ◇

帰りは超法廷速度運転で走り。
CDを聴き入りながら。
「今日の業務はこれでお終い」

朝飯を食べてないことを思い出した。
そう云えば。
katsu13氏のブログで。
カップラーメン記事があったなぁ。。。

すると。
急にお腹がグゥゥゥ。。。

    ◇

カチャリと開く音にホッとし。
扉の開いた安心感で。
疲れがドバッと放出。

カップラーメンにお湯を注ぎ。
ジッと我慢の3分後。
ズズズ・・・ッとすすってみた。

・・・が。

部屋で食べると感動が薄かった。
プチガッカリしてしまった。

    ◇

午後から。
シトシト降る小雨を恨めしく思いつつ。
早々に業務を終了。

「エラい日やったなぁ。。。」

そんな感想を抱きつつも。
冷たいビールが美味しいと感じる。

5月7日の午後20時前であります。

    ◇

でも、懲りた。