腕時計。

ずっと昔の記憶をたどってみる。

初めて腕時計をしたのは。
おそらく小学校3年生だったと思う。
確か、セイコーだった。

当時は大人になったような。
面映ゆい気持ちで。
嬉しくて堪らなかった。

しか~し。

慣れていないと邪魔で仕方ない。
小学生ではちと重すぎた。
その後、腕時計をするのは。

ず~~~~~っと時間が経っていた。

確か。
高校受験に腕時計を忘れて。
往生した記憶がある。

それもそのはず。
腕時計を持っていなかった。

よく考えれば。
高校時代も腕時計は持たず。
そのまま三年間を過ごし。
卒業した。

浪人時代も時計を持たず。

大学時代も時計を持たなかった。
いや。
途中からポケットに突っ込んでいたな。

ただ、女性用のそれだったので。
格好悪くて腕に巻かなかった。

親が抽選か何かで当てた女性用のそれを。
ちょこっと拝借していたのだと思う。

それも最終的には。
信州のお世話になったオバチャンに。
プレゼントした。

社会人時代も腕には巻かなかった。
縛られるようで鬱陶しかったのだった。
ポケットには入れてたように思うが。
もう忘れた。

なんだかんだと今まで。
私の左手首に時計は巻いていない。

そのうちに。
高性能の携帯電話が登場したので。
日常生活に腕時計は必要なくなった。

それが本日まで続いている。

腕時計は一応持っているが。
それもここ10年以上は。
防湿庫の肥やしである。

ところが。
トレッキングを始めたら事態が急変した。
必要性をひしひしと感じるようになった。

現在、検討している最中である。

その検討中にふぅ~っと思った。
甥っ子達は腕時計を持っているのだろうか?

残念ながら知らなかったので。
彼らの親に内密に電話してみた。

どうも持っていないようだ。
だったらプレゼントしてやるか。

と云って。
甥っ子どもに腕時計がいるかどうか尋ねるのは。
愚問であり危険である。

だから。
サプライズとして渡そうと画策中である。
喜ぶ顔を想像しながら選んでも。
そっぽを向くことも覚悟しなければならない。

そりゃそうである。
相手の意向など訊かずに。
一方的にプレゼントするのだから。

大人ならお愛想もあるが。
正直一辺倒な子供の態度は。
痛烈で容赦ないのである。

今現在。
自分の腕時計を選ぶ以上に。
厄介なことだと。
しみじみ痛感している真っ最中である。