夢持て語れ。

午後のお仕事時間に。
小学生に出会った。

その子とはよく出会い。
挨拶もする。

「こんにちは!」
「こんにちは」

いつもなら。
これで終わるのだが。

本日はちと違っていた。

おそらく昨日散髪したのだろう。
青々した頭髪姿で話しかけてきた。

「今日、卒業式だったんだ」
「そうか、おめでとう」
「うん」

ちょっとはにかみながら。
誇らしげに頷いている。

「卒業式で感激して泣いたか?」
「そんなことしないよ」
「そうか、そうか」

まだ興奮が顔に出ていて。
冷めやらない様子だった。

「中学になったら何するの?」
「まだ考えてないんだ」
「大きな夢に向かって進んだら?」
「どんな夢?」

その子の顔を見ながら。
ニヤッと笑いつつ。

「総理大臣、いっときましょか!」
「えっ、ムリムリ!」
「いっときましょ!、いっときましょ!!」
「えっ、えっ、えっ」

【何を言い出すねん!】

そんな困惑顔であったが。
こちらはヘッチャラである。

そして。
もう一度お祝いを述べた。

「卒業、おめでとう!」