敗戦日。

【大間違いの太平洋戦争】


著者の倉山氏はあとがきにこう書いている。

 =前略=

 ソ連への備えとして満州事変を行い、満州を守るために支那事変にのめり込み、支那の背後にいるイギリスを叩くついでにアメリカにケンカを売り、ハワイを占領する気も無いのにアリューシャン以下太平洋全域に戦線を広げ、対米英開戦が石油を守るためだと思い出してオーストラリア手前のガダルカナルに総力を中途半端に注ぎ込み、最後は投げやりにインドに突っ込む。舞台は地球の四分の一にまで広がった。

 これでは負けるために戦っていたとしか言いようがないではないか。

 多くの人が、あの戦争を正しいと信じていた。実際に、世界中で人種差別が行われ、有色人種は白人の奴隷のように扱われてきた。日本が戦ったおがけで白人の植民地支配は打倒され、アジアを皮切りに世界中の有色人種が奴隷のような境遇から脱した。日本が戦ったおかげで、国を名乗れる人々が多くいるのである。特に東南アジアの人々からどれほど感謝されているか、まず日本人が知るべきであろう。

 愛する人を守るため、命を散らして戦った人々は絶対的に尊い。特に、「九死に一生」ですらない、「十死零生」と言われた特攻隊員たちは絶対的に尊い。彼らが何を守るために自らの命と未来を捨てたのかを永遠に語り継ぐことは、日本国に生きる者すべての責務であろう。

 しかし、「十死零生」を命じた者、その能力も無いのに責任ある地位にしがみついた官僚、無能な戦争指導で国民に塗炭の苦しみを味あわせた軍高官、そして何の指導力も発揮できなかった政治家たちを免罪することはできない。

 大東亜戦争は聖戦だった、だから後知恵で批判すべきではないとする者に問う。

 なぜ多くの兵士が国を守るために命を捨てて戦ったことによって、その人たちがそこまでしなければならぬ状況に追い込んだ者の責任が免罪されるのか。

 =終了=

文化人の方も、そうでない方も。
今、お持ちの歴史観がちと変わるかも知れませんよ。

そして何より。
読みやすくて、おもしろいです。