職人の緊張感を肴にしつつ、背筋を伸ばして食べる楽しみ。

去年のお話し。

京都ご在住の新婚夫婦に。
ご招待されたお店での出来事。

そのお店は天麩羅が有名で。
かなり混雑していた。

待った甲斐があって。
やっと席に座るも。

お愛想でしゃべらない。
注文の返事も返らない。

天麩羅を揚げる職人さんの。
ピリピリした緊張感があった。

そんな経験は。
おいそれと出来ないと思う。

私はちょっと好きな緊張感だから。
飲んじゃえと日本酒を楽しんだ。

ひと段落した職人さんが。
優しい笑顔になってひと言。

「本日はありがとうございます」

ピリピリした緊張感がほどけ。
思わず突っ込んでしまった。

「やっと緊張せずに天麩羅をいただけます」

今年もいただけるのだろうか。
そんな季節がやって来た。