例え数分でも。

今も昔も。

田舎の親類に顔を出そうとすると。
時間的制約のため。
全員にご挨拶することは。
とても無理である。

せめてもと。
当時健在だった婆ちゃんにだけは。
顔を出そうと。
必ず寄り道をしてた。

その時間。
5分弱。

「婆ちゃん、こんにちは」
「よぉ~来たのぉ~」
「ごめん、もう帰るから」
「ゆっくりして行けんのか?」
「僕は元気やから、また来るわ」
「忙しないのぉ~」

数ヶ月後。
またゲリラ的に顔を出し。

「婆ちゃん元気そうだから、帰るわ」
「お前は孫の中でも一番忙しないぞ」
「ちょこちょこ顔出すから、ごめん」

それは今も変わらず。
愛想のない孫のままである。

時には完全にすっ飛ばしてしまい。
それが何年か経つ場合だってある。

だけど。
例え数分でも。
何とかして顔を出したいと思うのである。

何故ならば。
遠来の友人がほんの5分でも。
突然顔を出してくれたら。

嬉しくないか?

私は嬉しいので。
そんなことを実行している。