学生の頃(20年近く前)信州でバイトをしていた。
ちょうど今頃かな、あるいはちょっと後か。
学校の授業に出てから直接信州に行くことがあった。
その日は岐阜で大雪の情報が出ていた。
が、あまり気にせず新幹線に飛び乗ったのである。
乗ったのは京都で乗り換え駅は名古屋。
新幹線の遅れも知れているだろう。
・・・とんでもない。
京都⇒名古屋に6時間ほど缶詰状態だった。
新幹線車内の売り物は完売。
当時、初々しい学生だった私は我慢我慢の子であった。
(当然、特急料金払い戻しなんて知らず、JR職員も声高にそんなことは絶対云わない)
どうにか名古屋に到着し、駆け足で在来線に。
松本への最終の特急「しなの」に乗り込んだ。
松本に到着したのは10時過ぎだったと思う。
バイト先には遅れることも何も連絡しないまま。
松本駅でやっと公衆電話をかけた。
受話器から応答の無いコールをむなしく聞いたなぁ。
何十回目かにやっと電話に出てくれた。
「はい、ロッジです」と愛想の無い男の声だった。
・・・救われた。
「支配人、雪で遅れて今松本に到着なんです」
「そうか、ちょっと待ってろ!迎えに行くから」
「ありがとうございます」
・・・ほんの2時間。
あまりの寒さに泣きそうな気持ちを堪えた。
何度も駅に近づくヘッドライトにソワソワした。
やっとこさ。
支配人が迎えに来たサファリ(懐かしい)に飛び乗った。
支配人が開口一番、こう云った。
「待ったか?」
確か、こう答えた。
「支配人、お腹が空いてるんでコンビニに寄って下さい」
「分かった」
コンビニで弁当とお茶を買ってもらい車中でバクバク。
「都会の人間は雪が降ったらガタガタだな」
「そうですよ、でも私は来ましたから」
「そうか、そうか」
ロッジに到着したのは2時過ぎ。
翌朝は5時から起きて、普通に働いていた。
別にそれが当たり前だとも思っていたし。
今では考えられない。
そのバイト先は。
零下20℃には平気で下がっていた。
館内は暖房が効いていたので半袖でも大丈夫だった。
が、雪掻きにはダウンを羽織った。
当然、力仕事なので汗が出る。
汗は瞬間冷凍し、バリバリに顔に引っ付いていた。
睫毛は白くなり、鼻毛はまっ白だった。
それと。
大きく深呼吸すると肺が痛くなった。
とても乾燥しているので水分補給はマメにした。
始終、何か飲んでいた。
ここしばらくは厳冬とは無縁な生活だったけど。
寒波の到来で思わず思い出した。
血気盛んに動いていた時代だったなぁ、、、。