思い出す。その1。

その人はこんな人だった。

@好きなアイドルはと尋ねると。
 「桜田淳子」と話す人だった。
 ずっと以後には中山美穂に浮気していた。

@尊敬する人はと尋ねると。
 「ジャイアント馬場」と話す人だった。

@好きな食べ物はと尋ねると。
 「カレーライス」と話す人だった。

@食事の量はてんこ盛りを食べる人だった。
 なのに。
 咀嚼をしていないのでは無いかと疑うほど猛烈に早かった。

@口数は滅法少なかった。
 指示をするときなどは指さしで「あれやって」
 とか。
 「はい」と鍵を渡すだけだった。

@休憩時の珈琲は嗜まず、お茶か水だった。
 たまに珈琲を飲むのを見たときには驚きだった。

@ビール、焼酎はコクンコクンと水を飲むように早かった。
 しかも。
 いつまでも淡々と変わらなかった。

@人のグラスがちょっとでも空いていると。
 なみなみと注いでくれる人だった。

@人の話を聞いてるのか聞いてないのか判らなかったが。
 後年、首をわずかに頷かせると「了解!」のサインだった。

@暇なのがとても嫌な人であった。
 動いていない姿を見るのは眼を開けて寝ている時だけだった。

@体力維持に積極的であった。
 マラソン、スキー、筋トレ等々。
 風呂場でその裸体を見ると鋼の塊であった。

@何かに熱中すると一直線であった。
 カメラはその典型だった。

@遊びに行くと必ず玄関で写真を撮ってくれた。
 そして。
 後日、キチンと送ってくれる人だった。

@字は決してキレイではなかった。
 走り書きに近く、読むのに苦労した。

@布団敷きが異常に早い人だった。
 一緒に行くと押入から一気に引っ張り出した。
 仕事終わると、汗ビッショリになっていた。

@洗い物では洗い場に入りきらないほどの皿や茶碗を。
 これでもか!と放り込む人だった。

=続く=