店の玄関には蕎麦は売切れの看板が立っていた。
裏に回って勝手口の扉を開けると。
大将が蕎麦を打っていた。
いけますかとお聞きすると。
蕎麦を打っているんで少しお待ち下さい。
席に座って蕎麦が打ち終わる前に焼豚を注文。
肴を食べながら蕎麦の仕上がりを待っていると。
大将が顔を出して出来ましたとの事。
ただ水が回ってないので硬いと思います。
蕎麦粉と水が馴染んでないとの意味で。
三十分ほど寝かせた方が良いとのこと。
蕎麦は打立て、茹立てと聞いていても。
実際には食べたことがないので。
どんな具合なのか知りたくて注文した。
店で粉を挽いているので蕎麦には殻が混じっている。
これを大将は星と呼んでいたが。
手繰ってみたら少し硬い程度。
全く気にせず一気呵成に完食した。
せいろはシンプルなだけに難しいのだろうが。
打立て、茹立てを初めて経験した。
ご馳走様でした。